ローソンカード戦略


お客に新しい買い方式を提案したカード戦略

 この差別化戦略の一つが、コンビニエンス業界でははじめてのローソン・カードである。
正式にはローソン・ステーション・メンバーズ・カードという。同社がダイエーファイナンスと提携して発行しているものである。
 これは平成2年(1990)8月から実施しており、ローソンが客に新しい買い物の方式を提案したということで評判になった。
 コンビニエンスストアは、1円、2円単位の商売であるから、客はどうしても小銭の煩わしさから逃げることができない。
ローソンの従業員たちにとっても、レジでスムーズに精算するのに時間がかかる。待っている客はイライラしてしまう。
 この両方を満足させるものとしてローソン・カードが登場したのである。
 これはそう簡単に登場したものではない。

ローソンは設立当初から、全国的規模での店舗展開、いわばナショナル・チェーンになることを目標にした。
だから、すべてのシステム(商品の開発、配送から店舗設計、店舗展開、POSシステムなど)はナショナル・チェーンを組織するために工夫されていたのである。
 昭和63年(1988)からPOSシステムを導入し始めたのだが、この時点から、カードによる新しい販売システムの開発に乗り出したのである。
 そして、平成2年に全店にPOSシステムを導入したことによって、カードによる販売が可能になったのである。
 普通のカード--たとえばJCBやビザ、マスターカードは、使うのに本人のサインが必要である。
 しかし、このローソン・カードは、ローソンで使用する限りノーサイン。
POSレジにカードを通過させるだけで、すべてが終了するというシステムになっている。
非常に便利なものなのである。客は、このカードさえ持っていれば、ローソンでは面倒なことは一切しないで自由、気軽に買い物ができる。

ローソンカードのもうひとつの利点は、ローソンで買い物ができるだけではないところにある。
客の希望によって、JCBかビザ、マスターカードのいずれか一つのカードと兼用できるようになっているのだ。
使い方は普通のものと同じで、世界のどこでも通用する。
そればかりではなく、キャッシングも可能なのだ。東京都内では約600店のローソンで、24時間キャッシングができる。
その他の地域は、提携カード会社の営業時間内であれば、ATMがあるところでキャッシングが可能だ。
 ローソンカードの入会資格は、18歳以上で電話連絡の可能な人となっており、実際はダイエーファイナンスが審査することになっている。
入会金はなし。年会費は消費税込みで515円である。ただ、ローソン以外の店での買い物やキャッシングは兼用カードと同額という制限がついている。
 ローソンでのノーサインでの買い物の限度額は1万円。

なぜ、1万円という制限があるのか--それは、
「ローソンで買い物をしていただくとわかるのですが、1万円分買うと、両手で抱えられないほどの量になってしまうのです。
それで1万円で必要なものを1回で充分買えるということで、それを限度にしました」ということである。


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ローソンカード戦略

SINCE 2009/10/05
UPDATE 2009/10/05


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